4.耐久性試験とモニタリング
中詰めタイプの木製ダムについては、上述の試験結果や既往の施工事例1)を参考に、安定計算が可能であるが、オールウッドタイプの木製ダムについては、前例がなく、同形式の木製ダムの設計基準を整備をする上でも、各種の強度試験や、実際の構造を対象にした、実験・計測によるデータ収集が不可欠である。 平成15年3月に秋田県上小阿仁村に施工されたオールウッドタイプの木製ダムを対象に、土圧、水圧および水位のモニタリングシステムを導入し、定期観測を開始したところである。今後は、得られたデータをもとに、安定計算の妥当性(堤体の重量や浮力の評価など)を検証し、設計基準にフィードバックしていくことを検討している。また、木材を使用するうえで最も重要な耐久性の評価も、同ダムを対象にして検討している。本ダムと同一環境下(写真参照)に設置した、計30本の試験材(使用部材と同寸:H250×B300×L1800mm)を定期的な腐朽診断と強度試験を行う計画である。なお、これらの試験材については、健全時の初期値として、施工前に動的ヤング係数、含水率、超音波伝播時間、ピロディン打込値などを測定した。
図8 木製床固工一般図(秋田県上小阿仁村)
底部土圧・水圧計設置状況