スギ樹皮厚物成形ボードを用いた床暖房用基材の開発
目的:スギ原木重量の8~10%を占める樹皮の有効な利用方法を開発し、原木の相対的な価格低減化を図ることで我が国において資源の蓄積が大きいスギを木質材料原料として利用する可能性を探る。

アプローチ:
 スギ樹皮は、
 1)廃棄物である(小規模焼却炉に対する規制から、焼却に代わる新しい処理方法を開発する必要がある)
 2)耐久性・断熱性が高いなどに材部とは異なる特徴を持つ
 3)ハンマーミルなどの簡単な処理で嵩高い原料となる
 4)内層剥離に起因する接着強度の低さから、材料化した際の強度は期待できない
等の特徴を持つ。この特徴を生かし、さらに付加価値の高い利用方法として、蒸気噴射プレスを用いて厚物のボードに成型し、さらに熱圧時に型押しすることで表面に凸凹を一発成型して、暖房床における断熱と配管基材を兼ねた材料に用いる。
実験1:樹皮ボードの断熱性評価
 粉砕樹皮を用いて比重の異なるボードを作製し、熱伝導率の測定を行った。
a)供試材料:50年生スギ丸太から剥皮した樹皮をハンマーミルを用いて粉砕した。含水率12%まで乾燥してそのまま用いたほか、必要に応じて、篩い分けし繊維リッチなもの、コルク間層リッチなものを得た
b)ボード製造:400×400×9mm、接着剤にMDI(日本ポリウレタン㈱製WC-300)を樹皮全乾重量に対して10%添加、160℃で5分間熱圧した
c)熱伝導率の測定:熱伝導率の測定には英弘精機㈱製HC-073を用いた。測定は上熱板40℃、下熱板10℃で行った。一条件mにつき回の測定し、その平均をそのボード・条件の熱伝導率とした。  比較のため、同条件でスギのパーティクルボードを作製した。また、プレーナー仕上げしたスギ・柾目板(厚さ15mm)の測定も行った。
実験2:モデル暖房床を用いた暖房床構成の検討
試作した樹皮厚物成形ボードを用いて1m×2mのモデル暖房床を作製し、効率的な暖房床構成を検討した。